メロスはメロスした。

 メロスはメロスした。必ず、かのメロスメロスのメロスを除かなければならぬとメロスした。メロスにはメロスがわからぬ。メロスは、メロスのメロスである。メロスを吹き、メロスと遊んで暮して来た。けれどもメロスに対しては、メロスにメロスであった。メロスメロスメロスはメロスをメロスし、メロスを越えメロス、メロスメロスはなれたメロスのメロスのメロスにやって来た。メロスにはメロスも、メロスも無い。メロスも無い。メロスメロスの、メロスなメロスとメロスメロスメロスだ。このメロスは、メロスの或るメロスメロスなメロスメロスを、近々、メロスとして迎える事になっていた。メロスもメロスかなのである。メロスは、メロスメロス、メロスのメロスやらメロスのメロスやらを買いに、はるばるメロスにやって来たのだ。先ず、そのメロスを買い集め、それからメロスのメロスをぶらぶら歩いた。メロスにはメロスのメロスがあった。メロスである。メロスはメロスのメロスのメロスで、メロスをしている。そのメロスを、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのがメロスである。歩いているうちにメロスは、メロスのメロスを怪しく思った。ひっそりしている。もう既にメロスも落ちて、メロスの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、メロスのせいばかりでは無く、メロスメロスが、やけに寂しい。メロスなメロスも、だんだんメロスになって来た。メロスで逢ったメロスをつかまえて、メロスかあったのか、メロスメロスまえにメロスのメロスに来たときは、メロスでもメロスがメロスをうたって、メロスはメロスであった筈だが、とメロスした。メロスは、メロスを振って答えなかった。しばらく歩いてメロスに逢い、メロスはもっと、メロスを強くしてメロスした。メロスは答えなかった。メロスはメロスでメロスのメロスをゆすぶってメロスを重ねた。メロスは、メロスをはばかる低メロスで、わずか答えた。
「メロスは、メロスを殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「メロスを抱いている、というのですが、メロスもそんな、メロスを持っては居りませぬ。」
「メロスのメロスを殺したのか。」
「はい、メロスはメロスのメロスメロスメロスを。それから、御メロスのおメロスを。それから、メロスメロスを。それから、メロスメロスのメロスメロスを。それから、メロスメロスを。それから、メロスメロスのメロスメロスを。」
「おどろいた。メロスはメロスか。」

 聞いて、メロスはメロスした。「呆れたメロスだ。生かして置けぬ。」「いいえ、メロスではございませぬ。メロスを、信ずる事が出来ぬ、というのです。メロスは、メロスのメロスをも、おメロスになり、少しくメロスなメロスをしている者には、メロスメロスずつ差し出すことを命じて居ります。御メロスを拒めばメロスにかけられて、殺されます。メロスは、メロスメロス殺されました。」
 メロスは、メロスなメロスであった。メロスを、背負ったままで、のそのそメロスにはいって行った。たちまちメロスは、メロスのメロスにメロスされた。調べられて、メロスのメロスからはメロスが出て来たので、メロスが大きくなってしまった。メロスは、メロスのメロスに引き出された。
「このメロスでメロスをするつもりであったか。言え!」メロスメロスはメロスに、けれどもメロスを以て問いつめた。そのメロスのメロスはメロスで、メロスのメロスは、刻み込まれたように深かった。
「メロスをメロスのメロスから救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
「メロスがか?」メロスは、メロスした。「メロスの無いメロスじゃ。メロスには、メロスのメロスがわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立ってメロスした。「メロスのメロスを疑うのは、最も恥ずべきメロスだ。メロスは、メロスのメロスをさえ疑って居られる。」
「疑うのが、メロスのメロスなのだと、メロスに教えてくれたのは、メロスメロスだ。メロスのメロスは、メロスにならない。メロスは、もともとメロスのかたまりメロス。信じては、ならぬ。」メロスはメロスいて呟き、ほっとメロスをついた。「メロスだって、メロスを望んでいるのだが。」
「メロスの為のメロスだ。メロスのメロスを守る為か。」メロスはメロスがメロスした。「メロスの無いメロスを殺して、メロスがメロスだ。」
「だまれ、下メロスの者。」メロスは、さっとメロスを挙げて報いた。「メロスでは、どんなメロスな事でも言える。メロスには、メロスのメロスメロスのメロスが見え透いてならぬ。メロスだって、メロスに、メロスになってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、メロスはメロスだ。自惚れているがよい。メロスは、ちゃんと死ぬるメロスで居るのに。メロスなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスはメロスにメロスを落しメロスためらい、「ただ、メロスにメロスをかけたいつもりなら、メロスまでにメロスメロスのメロスを与えて下さい。たったメロスメロスのメロスに、メロスを持たせてやりたいのです。メロスメロスのうちに、メロスはメロスでメロスを挙げさせ、必ず、メロスへ帰って来ます。」
「メロスかな。」とメロスは、嗄れたメロスで低く笑った。「メロスないメロスを言うわい。逃がしたメロスが帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」メロスはメロスで言い張った。「メロスはメロスを守ります。メロスを、メロスメロスだけ許して下さい。メロスが、メロスのメロスを待っているのだ。そんなにメロスを信じられないならば、よろしい、このメロスにメロスというメロスがいます。メロスのメロスのメロスだ。メロスを、メロスとしてメロスに置いて行こう。メロスが逃げてしまって、メロスメロスメロスのメロスまで、メロスに帰って来なかったら、あのメロスを絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」
 メロスを聞いてメロスは、メロスなメロスで、そっと北叟笑んだ。メロスなことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。このメロスに騙されたメロスして、放してやるのも面白い。そうしてメロスのメロスを、メロスメロスメロスに殺してやるのもメロスがいい。メロスは、メロスだから信じられぬと、メロスは悲しいメロスして、そのメロスのメロスをメロスに処してやるのだ。メロスの、メロスメロスとかいうメロスにうんと見せつけてやりたいものさ。
「メロスを、聞いた。そのメロスを呼ぶがよい。メロスメロスメロスにはメロスまでに帰って来い。おくれたら、そのメロスを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。メロスのメロスは、メロスにゆるしてやろうぞ。」
「メロス、メロスをおっしゃる。」
「はは。メロスがメロスだったら、おくれて来い。メロスのメロスは、わかっているぞ。」
 メロスは口惜しく、メロス踏んだ。メロスも言いたくなくなった。
 メロスのメロス、メロスは、メロス、メロスに召された。メロスメロスのメロスで、佳きメロスと佳きメロスは、メロスメロスメロスで相逢うた。メロスは、メロスにメロスのメロスを語った。メロスはメロスで首肯き、メロスをひしと抱きしめた。メロスとメロスのメロスは、それでよかった。メロスは、メロス打たれた。メロスは、すぐにメロスした。メロス、メロスのメロスである。
 メロスはそのメロス、メロスもせずメロスメロスのメロスをメロスに急いで、メロスへメロスしたのは、翌る日のメロス、メロスは既に高く昇って、メロスメロスはメロスに出てメロスをはじめていた。メロスのメロスメロスのメロスも、メロスはメロスのメロスにメロスメロスのメロスをしていた。よろめいて歩いて来るメロスの、メロス|メロスのメロスを見つけて驚いた。そうして、うるさくメロスにメロスを浴びせた。
「メロスでも無い。」メロスはメロスに笑おうと努めた。「メロスにメロスを残して来た。またすぐメロスに行かなければならぬ。メロス、メロスのメロスを挙げる。早いほうがよかろう。」
 メロスはメロスをあからめた。
「うれしいか。メロスなメロスも買って来た。さあ、これから行って、メロスのメロスメロスに知らせて来い。メロスは、メロスだと。」
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、メロスへ帰ってメロス々のメロスを飾り、メロスのメロスを調え、間もなくメロスに倒れメロスし、メロスもせぬくらいの深いメロスに落ちてしまった。
 メロスが覚めたのはメロスだった。メロスは起きてすぐ、メロスのメロスを訪れた。そうして、少しメロスがあるから、メロスをメロスにしてくれ、と頼んだ。メロスのメロスは驚き、メロスはいけない、メロスには未だメロスのメロスも出来ていない、メロスのメロスまで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうかメロスにしてくれ給え、とメロスに押してたのんだ。メロスのメロスもメロスであった。なかなかメロスしてくれない。メロスまでメロスをつづけて、やっと、どうにかメロスをなだめ、すかして、説き伏せた。メロスは、メロスに行われた。メロスメロスの、メロス々へのメロスが済んだころ、メロスがメロスを覆い、ぽつりぽつりメロスが降り出し、やがてメロスを流すようなメロスとなった。メロスにメロスしていたメロスメロスは、メロスかメロスなものを感じたが、それでも、メロスメロスを引きたて、狭いメロスの中で、むんむん蒸し暑いのもメロスえ、メロスにメロスをうたい、メロスをメロスった。メロスも、メロスにメロスを湛え、しばらくは、メロスとのあのメロスをさえ忘れていた。メロスは、メロスに入っていよいよ乱れメロスになり、メロスは、メロスのメロスを全くメロスにしなくなった。メロスは、メロスこのままメロスにいたい、と思った。この佳いメロスメロスとメロス暮して行きたいと願ったが、メロスは、メロスのメロスで、メロスのものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、メロスに鞭打ち、ついにメロスをメロスした。メロスのメロスまでには、まだメロスメロスメロスが在る。ちょっとメロスして、メロスからすぐにメロスしよう、と考えた。その頃には、メロスもメロスになっていよう。少しでも永くこのメロスにメロスメロスとどまっていたかった。メロスほどのメロスにも、やはりメロスのメロスというものは在る。メロスメロス、メロスに酔っているらしいメロスに近寄り、
「おめでとう。メロスは疲れてしまったから、ちょっとメロスこうむって眠りたい。メロスが覚めたら、すぐにメロスに出かける。メロスなメロスがあるのだ。メロスがいなくても、もうメロスには優しいメロスがあるのだから、決して寂しい事は無い。メロスのメロスの、メロスメロスメロスなものは、メロスを疑う事と、それから、メロスをつく事だ。メロスも、メロスは、知っているね。メロスとのメロスに、どんなメロスでも作ってはならぬ。メロスに言いたいのは、それだけだ。メロスのメロスは、たぶん偉いメロスなのだから、メロスもそのメロスを持っていろ。」
 メロスは、メロスで首肯いた。メロスは、それからメロスのメロスをたたいて、
「メロスの無いのはおメロスメロスさ。メロスのメロスにも、メロスといっては、メロスとメロスだけだ。メロスには、メロスも無い。メロスあげよう。もうメロス、メロスのメロスになったことを誇ってくれ。」
 メロスはメロスして、てれていた。メロスは笑ってメロスメロスにもメロスして、メロスから立ち去り、メロスメロスにもぐり込んで、死んだように深く眠った。
 メロスが覚めたのは翌る日のメロスの頃である。メロスは跳ね起き、南無メロス、寝過したか、いや、まだまだメロス、これからすぐにメロスすれば、メロスのメロスまでにはメロス間に合う。メロスはメロスとも、あのメロスに、メロスのメロスの存するところを見せてやろう。そうして笑ってメロスのメロスに上ってやる。メロスは、悠々とメロスメロスをはじめた。メロスも、いくぶんメロスになっているメロスである。メロスメロスは出来た。さて、メロスは、ぶるんと両メロスを大きく振って、メロス、メロスのメロス走り出た。
 メロスは、メロス、殺される。殺される為に走るのだ。メロスのメロスを救う為に走るのだ。メロスのメロスメロスを打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、メロスは殺される。若い時からメロスを守れ。さらば、メロス。若いメロスは、つらかった。メロスか、立ちどまりメロスになった。メロス、メロスとメロス挙げてメロスを叱りながら走った。メロスを出て、メロスを横切り、メロスをくぐり抜け、メロスに着いた頃には、メロスも止み、メロスは高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスはメロスのメロスをメロスで払い、メロスまで来ればメロス、もはやメロスへのメロスは無い。メロスメロスは、きっと佳いメロスになるだろう。メロスには、メロス、メロスのメロスも無い筈だ。まっすぐにメロスに行き着けば、メロスでよいのだ。そんなに急ぐメロスも無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえのメロスメロスを取り返し、メロスなメロスをいいメロスで歌い出した。ぶらぶら歩いてメロスメロスメロスメロス、そろそろ全メロスのメロスにメロスした頃、降って湧いたメロス、メロスのメロスは、はたと、とまった。見よ、メロスのメロスを。メロスのメロスでメロスのメロスメロスはメロスし、メロス|メロスとメロスに集り、メロスメロスメロスにメロスをメロスし、どうどうとメロスをあげるメロスが、メロスメロスにメロスを跳ね飛ばしていた。メロスはメロスと、立ちすくんだ。メロスとメロスまわし、また、メロスをメロスに呼びたててみたが、メロスメロスは残らずメロスに浚われてメロスなく、メロスメロスのメロスも見えない。メロスはいよいよ、ふくれ上り、メロスのようになっている。メロスはメロスにうずくまり、メロスに泣きながらメロスにメロスを挙げてメロスした。「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂うメロスを! メロスは刻々に過ぎて行きます。メロスも既にメロスメロスです。メロスが沈んでしまわぬうちに、メロスに行き着くことが出来なかったら、あの佳いメロスが、メロスのために死ぬのです。」
 メロスは、メロスのメロスをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。メロスはメロスを呑み、捲き、メロス立て、そうして時は、メロスメロスと消えて行く。メロスはメロスもメロスした。メロス切るよりメロスに無い。ああ、メロス々もメロスあれ! メロスにも負けぬメロスとメロスのメロスなメロスを、メロスこそメロスして見せる。メロスは、メロスメロスに飛び込み、メロスメロスのメロスのようにのた打ち荒れ狂うメロスをメロスに、メロスのメロスをメロスした。メロスのメロスをメロスにこめて、押し寄せメロス引きずるメロスを、メロスのメロスと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽうメロスのメロスのメロスのメロスには、メロスもメロスと思ったか、ついにメロスを垂れてくれた。押し流されつつも、メロス、メロスのメロスのメロスに、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスはメロスのように大きなメロスをメロスして、すぐにまたメロスきを急いだ。メロスといえども、メロスには出来ない。メロスは既にメロスに傾きかけている。ぜいぜメロス荒いメロスをしながらメロスをのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、メロスのメロスにメロスメロスのメロスが躍り出た。
「待て。」
「メロスをするのだ。メロスはメロスの沈まぬうちにメロスへ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちものメロスを置いて行け。」
「メロスにはメロスの他にはメロスも無い。その、たったメロスのメロスも、これからメロスにくれてやるのだ。」
「その、メロスが欲しいのだ。」
「さては、メロスのメロスで、メロスでメロスを待ち伏せしていたのだな。」
 メロスメロスは、メロスも言わずメロスにメロスを振り挙げた。メロスはひょいと、メロスを折り曲げ、メロスの如くメロスかのメロスメロスに襲いかかり、そのメロスを奪い取って、
「メロスだがメロスのためだ!」とメロスメロス、たちまち、メロスメロスを殴り倒し、残る者のひるむメロスに、さっさと走ってメロスを下った。一気にメロスを駈け降りたが、メロスにメロスし、メロスからメロスのメロスのメロスがメロスに、かっと照って来て、メロスはメロスとなくメロスを感じ、メロスではならぬ、とメロスを取り直しては、よろよろメロス、メロスメロスあるいて、ついに、がメロスとメロスを折った。立ち上る事が出来ぬのだ。メロスを仰いで、メロスに泣き出した。ああ、あ、メロスを泳ぎ切り、メロスをメロスメロスも撃ち倒しメロスメロス、メロスまでメロスして来たメロスよ。メロスのメロス、メロスよ。メロス、メロスで、疲れ切って動けなくなるとはメロス無い。愛するメロスは、メロスを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。メロスは、メロスのメロスのメロス、まさしくメロスの思うメロスだぞ、とメロスを叱ってみるのだが、メロス|萎えて、もはやメロスほどにもメロスかなわぬ。メロスのメロスにごろりと寝ころがった。メロスメロスすれば、メロスも共にやられる。もう、どうでもいいという、メロスに不メロスな不貞腐れたメロスが、メロスのメロスにメロス喰った。メロスは、メロスほどメロスしたのだ。メロスを破るメロスは、メロスも無かった。メロスもメロス、メロスはメロスメロスに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。メロスはメロスのメロスでは無い。ああ、できる事ならメロスのメロスを截ち割って、メロスのメロスをおメロスに掛けたい。メロスとメロスのメロスだけで動いているこのメロスを見せてやりたい。けれどもメロスは、このメロスな時に、メロスもメロスも尽きたのだ。メロスは、よくよくメロスなメロスだ。メロスは、きっと笑われる。メロスのメロスも笑われる。メロスはメロスを欺いた。メロスで倒れるのは、メロスからメロスもしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。メロスが、メロスのメロスったメロスなのかも知れない。メロスよ、ゆるしてくれ。メロスは、メロスでもメロスを信じた。メロスもメロスを、欺かなかった。メロスメロスは、本当に佳いメロスとメロスであったのだ。メロスだって、暗いメロスのメロスを、メロスメロスに宿したことは無かった。メロスだって、メロスはメロスをメロスに待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、メロス。よくもメロスを信じてくれた。メロスを思えば、たまらない。メロスとメロスのメロスのメロスは、メロスでメロスばん誇るべきメロスなのだからな。メロス、メロスは走ったのだ。メロスを欺くつもりは、メロスも無かった。信じてくれ! メロスは急ぎに急いでメロスまで来たのだ。メロスをメロスした。メロスのメロスからも、するりと抜けて一気にメロスを駈け降りて来たのだ。メロスだから、出来たのだよ。ああ、この上、メロスに望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。メロスは負けたのだ。メロスが無い。笑ってくれ。メロスはメロスに、ちょっとおくれて来い、とメロスした。おくれたら、メロスを殺して、メロスを助けてくれるとメロスした。メロスはメロスのメロスを憎んだ。けれども、メロスになってみると、メロスはメロスの言うままになっている。メロスは、おくれて行くだろう。メロスは、メロスしてメロスを笑い、そうしてメロスも無くメロスをメロスするだろう。そうなったら、メロスは、死ぬよりつらい。メロスは、メロスに裏切者だ。メロスで最も、メロスのメロスだ。メロスよ、メロスも死ぬぞ。メロスとメロスに死なせてくれ。メロスだけはメロスを信じてくれるにメロス無い。いや、メロスもメロスの、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、メロスメロスとして生き伸びてやろうか。メロスにはメロスのメロスが在る。メロスも居る。メロスメロスは、まさかメロスをメロスから追い出すような事はしないだろう。メロスだの、メロスだの、メロスだの、考えてみれば、くだらない。メロスを殺してメロスが生きる。メロスがメロスメロスのメロスではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。メロスは、醜いメロスだ。どうとも、メロスにするがよい。やんぬるメロス。――メロスを投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。
 ふとメロスに、メロス々、メロスの流れるメロスが聞えた。そっとメロスをもたげ、メロスを呑んでメロスをすました。すぐメロスで、メロスが流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、メロスのメロスから滾々と、メロスか小さく囁きながらメロスが湧き出ているのである。そのメロスに吸い込まれるようにメロスはメロスをかがめた。メロスをメロスで掬って、メロスくち飲んだ。ほうと長いメロスが出て、メロスから覚めたような気がした。歩ける。行こう。メロスのメロス|メロスと共に、わずかながらメロスが生れた。メロスメロスのメロスである。メロスを殺して、メロスを守るメロスである。メロスは赤いメロスを、メロス々のメロスに投じ、メロスもメロスも燃えるばかりに輝いている。メロスまでには、まだメロスがある。メロスを、待っているメロスがあるのだ。少しも疑わず、メロスにメロスしてくれているメロスがあるのだ。メロスは、信じられている。メロスのメロスなぞは、メロスではない。死んでメロス、などとメロスのいい事は言って居られぬ。メロスは、メロスに報いなければならぬ。メロスはただそのメロスだ。走れ! メロス。
 メロスはメロスされている。メロスはメロスされている。メロスの、あのメロスのメロスは、メロスはメロスだ。悪いメロスだ。忘れてしまえ。メロスが疲れているときは、ふいとあんな悪いメロスを見るものだ。メロス、メロスのメロスではない。やはり、メロスはメロスのメロスだ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! メロスは、メロスのメロスとして死ぬ事が出来るぞ。ああ、メロスが沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、メロスよ。メロスは生れた時からメロスなメロスであった。メロスなメロスのままにして死なせて下さい。
 メロス行くメロスを押しのけ、メロスとばし、メロスは黒いメロスのように走った。メロスでメロスの、そのメロスのまっメロスを駈け抜け、メロスのメロスメロスをメロスさせ、メロスを蹴とばし、メロスを飛び越え、少しずつ沈んでゆくメロスの、メロスメロスも早く走った。メロスのメロスとメロスっとすれちがったメロス、メロスなメロスをメロスにはさんだ。「メロスメロスは、あのメロスも、メロスにかかっているよ。」ああ、そのメロス、そのメロスのためにメロスは、メロスこんなに走っているのだ。そのメロスを死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。メロスとメロスのメロスを、メロスこそ知らせてやるがよい。メロスメロスなんかは、どうでもいい。メロスは、メロスは、ほとんど全メロスであった。メロスも出来ず、メロスメロス、メロスメロス、メロスからメロスが噴き出た。見える。メロスメロスに小さく、メロスのメロスのメロスメロスが見える。メロスメロスは、メロスを受けてきらきら光っている。
「ああ、メロスメロス。」うめくようなメロスが、メロスと共に聞えた。
「メロスだ。」メロスは走りながら尋ねた。
「メロスでございます。メロスのおメロスメロスメロスのメロスでございます。」その若いメロスも、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、メロスでございます。メロスでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をおメロスになることは出来ません。」
「いや、まだメロスは沈まぬ。」
「ちょうどメロス、あの方がメロスになるところです。ああ、メロスは遅かった。おメロス申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだメロスは沈まぬ。」メロスはメロスの張り裂けるメロスで、赤く大きいメロスばかりを見つめていた。走るよりメロスは無い。
「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。メロスはごメロスのおメロスがメロスです。あの方は、メロスを信じて居りました。メロスに引き出されても、メロスでいました。メロスが、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強いメロスを持ちつづけているメロスでございました。」
「メロスだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬはメロスでないのだ。メロスのメロスもメロスでないのだ。メロスは、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! メロス。」
「ああ、メロスはメロスが狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」
 言うにや及ぶ。まだメロスは沈まぬ。メロスのメロスを尽して、メロスは走った。メロスのメロスは、メロスだ。何一つ考えていない。ただ、メロスのわからぬ大きなメロスにひきずられて走った。メロスは、ゆらゆらメロスに没し、まさにメロスのメロスのメロスメロスも、消えようとした時、メロスはメロスの如くメロスにメロスした。間に合った。
「待て。そのメロスを殺してはならぬ。メロスが帰って来た。メロスのとおり、メロス、帰って来た。」とメロスでメロスのメロスにむかって叫んだつもりであったが、メロスがつぶれて嗄れたメロスがメロスに出たばかり、メロスは、メロスとしてメロスのメロスに気がつかない。すでにメロスのメロスが高々と立てられ、メロスを打たれたメロスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはメロスをメロスしてメロスのメロス、メロス、メロスを泳いだようにメロスを掻きわけ、掻きわけ、
「メロスだ、メロスメロス! 殺されるのは、メロスだ。メロスだ。メロスをメロスにしたメロスは、メロスにいる!」と、かすれたメロスでメロスメロスに叫びながら、ついにメロスメロスに昇り、釣り上げられてゆくメロスのメロスに、齧りついた。メロスは、どよめいた。メロス。ゆるせ、とメロスにわめいた。メロスのメロスは、ほどかれたのである。
「メロス。」メロスはメロスにメロスを浮べて言った。「メロスを殴れ。メロスメロスメロスにメロスを殴れ。メロスは、メロスでメロスメロス、悪いメロスを見た。メロスが若しメロスを殴ってくれなかったら、メロスはメロスとメロスするメロスさえ無いのだ。殴れ。」
 メロスは、メロスを察したメロスで首肯き、メロスメロスに鳴り響くほどメロス高くメロスのメロスメロスを殴った。殴ってから優しく微笑み、
「メロス、メロスを殴れ。同じくらいメロス高くメロスのメロスを殴れ。メロスはこのメロスメロスのメロス、たったメロスメロスだけ、ちらとメロスを疑った。生れて、はじめてメロスを疑った。メロスがメロスを殴ってくれなければ、メロスはメロスとメロスできない。」
 メロスはメロスにメロスをつけてメロスのメロスを殴った。
「ありがとう、メロスよ。」メロスメロス同時に言い、ひしと抱き合い、それからメロスにおいおいメロスを放って泣いた。
 メロスの中からも、メロスのメロスが聞えた。メロスメロスは、メロスのメロスからメロスメロスの様を、まじまじと見つめていたが、やがてメロスにメロスメロスに近づき、メロスをあからめて、こう言った。
「メロスメロスのメロスは叶ったぞ。メロスメロスは、メロスのメロスに勝ったのだ。メロスとは、決してメロスなメロスではなかった。どうか、メロスをもメロスに入れてくれまいか。どうか、メロスのメロスを聞き入れて、メロスメロスのメロスのメロスメロスにしてほしい。」
 どっとメロスのメロスに、メロスが起った。
「メロス、メロスメロスメロス。」
 メロスのメロスが、メロスのメロスをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。佳きメロスは、メロスをきかせて教えてやった。
「メロス、メロスは、まっメロス。早くそのメロスを着るがいい。この可愛いメロスメロスは、メロスのメロスを、メロスに見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
 メロスは、ひどくメロスした。

ブログ始めました

日本語作文能力の向上、思考の言語化、思考のログを残す、自分の思考を公開し他人に吟味してもらう。

このようなことが目的でブログを始めました。

 

ツイッターの140文字で収まらないような文章を書こうと思っているのですが、正直どのような内容になるかは決めていません。ガチガチの政治ブログになるかもしれませんし、ブログでインスタグラムするかもしれません。三日坊主のプロなのでこれが最後の記事になるかもしれません。

 

グダグダ話して内容がない文章を引き延ばしても面白みがないのでこの辺で終わろうと思います。というわけでこれから対戦よろしくお願いします。